2012年4月5日木曜日

隠匿捜査4 転迷

隠匿捜査4 転迷
今野敏著
新潮社
警察キャリア官僚・竜崎が活躍するシリーズの第5弾。ページをめくる手が止まらない!とぼけたカッコよさの竜崎に今回もスカッとする!!


今野敏氏によるシリーズ第5弾(スピンオフの3.5もある)
このシリーズは、吉川英治文学新人賞、山本周五郎賞、日本推理作家協会賞等を受賞している人気作品である。テレビドラマ化、舞台化もされている。

主人公は、息子の不祥事による降格人事で大森警察署署長をしているキャリア官僚の竜崎伸也。
殺人事件、ひき逃げ事件、連続放火事件、麻薬捜査と事件が重なり、てんてこ舞いの大森署。
そこに、厚労省・外務省の役人まで事件に口を出してくる。
署長である竜崎はそれをどうさばくのか?

今までの警察小説でありがちな現場の警官が活躍する小説とは違い、警察官僚が署内で采配を揮って事件を解決するというシリーズである。他の小説では、キャリアは保身に徹するイヤな奴というイメージがあるが、この竜崎はちょっと違う。
原理原則・合理性を重視し階級主義になびかない、真面目すぎてどこかとぼけた魅力のある主人公である。
そのため、「警察ふぜいが厚労省に勝てると思うな」等と面子にこだわる役人、役職や階級でしかものを考えられない周りの者たちと衝突してしまうのである。
そんな竜崎を戸惑いながら見ているうちに、敵対している者たちもいつしか味方になっていく・・・
というパターンのシリーズで、分かってはいても、どこまでも正しいことを愚直に貫こうとする竜崎の姿勢に胸がスカッとする。

小学校時代の同級生で竜崎をいじめていた同期の官僚・伊丹とのやり取りも、息が合っているんだか無いんだか、くすりとさせられる。

私の大好きなシリーズでもあるので、このまま定年などにならずにずっととぼけた味のある官僚のままでいて欲しい。永遠に年をとらないサザエさん一家のように。

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