2013年4月9日火曜日

女子の古本屋

女子の古本屋
岡崎武志著
筑摩書房




個人経営の古本屋さんといったら、
古めかしい江戸川乱歩、初版本や稀覯本、それに全集などが並んでいて、少し黴臭いような匂いがする。
お店に入ると、気難しそうなおじさんが奥に座っていて、敷居が高い場所。
というイメージがあった。

ところが今は違うらしい。
たくさんの女性の店主が、斬新なアイディアで工夫を凝らした古本屋さんが増えているという。
この文庫本では、単行本に掲載された13人の女性店主たちのインタビューに加えて、彼女たちのその後、7人の新たなインタビュー、そして古書店の店主になるためのアドバイスが収録されている。 

重たい物を運んだりと重労働である、ピンク系の本を扱うこともある、意地悪な客に舐められる・・・
古本屋さんとは女性には向かない職業だという。
また、儲けが少ないため経営が難しいらしい。
「本が好きだから」というだけでは、やっていけない厳しい世界のようだ。

精神的痛手から古書店巡りに癒しを見出し、いつしか古本屋さんになっていた方。
編集という仕事柄、溜まっていった要らない本を処分するため、Amazonのマーケットプライスに出品したらよく売れて、それをきっかけにオンラインショップを立ち上げた方。
亡くなった夫の「2人で古本屋をやろう」という言葉から開業した方。
と、古本屋さんを開業するまでの過程は様々だ。
しかし、皆さん独立心が旺盛で、早くに親から自立された方が多いように思えた。

そして、それぞれ工夫を凝らし、雑貨を一緒に置いたりある分野に特化したりと、今までの古書店と違う女性ならではの特色あるお店を作り上げている。
また、表参道や東京駅、神保町など家賃が高そうな場所にお店を構えている方も多く、頑張っているんだなと感心する。

確かに客の立場からしたらむさ苦しいおじさんのお店より、女性が笑顔で迎えてくれるお店の方が入りやすい。
それに、本以外の物も扱っていたら雑貨屋さんで商品を眺めるような感覚でふらっと立ち寄り、気軽に買い物もできるのではないか。
男社会と言われながらも必死に奮闘している彼女たちの素敵な物語が詰まった一冊だった。

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