2013年11月19日火曜日

カフーを待ちわびて

原田マハ著
宝島社

「嫁に来ないか」と絵馬に書いたら「お嫁さんにしてください」と女がやってきた!恋愛小説で泣きたい貴方へ。㊟泣けなくても責任は取れません。



この「カフーを待ちわびて」は、原田マハさんのデビュー作であり、第1回ラブストーリー大賞受賞作でもある。
題名のカフーとは、主人公が飼っている黒いラブラドールの名前でもあるが、与那喜島の方言で「いい報せ・幸せ・果報」という意味だそうだ。

主人公の明青(あきお)は、沖縄の離島・与那喜島で小さな「よろずや」を営んでいる。
北陸を訪れた際、神社の絵馬に勢いで「嫁に来ないか、幸せにします。与那喜島・友寄明青」と書いて奉納した。
するとその後、自宅に「私をあなたのお嫁さんにしてくださいますか」という手紙が届き、本当に女がやってきた!
しかも「でーじ美らさん」(とても美人)が!

美人の女が都合よく向こうからやってくる・・・
まるでイケメンが「拾ってください」と突然やってきた「植物図鑑」のような都合のいい設定である。
それはわかっている。
わかっていても、島で唯一のユタであるおばあとの温かい関係、沖縄の方言、目に浮かぶ美しい風景が、ドラマチックな恋愛物語を雰囲気たっぷりに盛り上げるのだから、ハマってしまうのは当たり前ではないか。

青い海、晴れ渡った空。
静かに、そして穏やかに流れる時。
過去の出来事から自信が持てなくて、お互い想い合っているのに踏み出せない臆病さ。
そして過去がだんだん明らかになり・・・
ああ、そうだったのか!
だからそうなのか!
これが泣かずにいられるだろうか!

「植物物語」では、「いいなぁ。こんな男欲しいなぁ。」と羨ましくてハマってしまったのだが、本書では純粋にこのおとぎ話のようなストーリーに感動した。

自覚していなかったが、実はベタな恋愛物語が好きなのかもしれない。
平凡な人生を歩んできたので、今更ながらドラマチックな恋愛に憧れているのだろうか。
それともヘンな本ばかり読んでいるので、純粋な愛に飢えていたのだろうか。
自分でもよくわからないのだが。

何にせよ、沖縄に思いを馳せながらこの素敵な物語の余韻に浸っていたい。

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