2013年12月5日木曜日

苦手図鑑

北大路公子著
角川書店

私も妄想するけれど、北大路公子さんには負けます!大笑いしながら読めるエッセイ集。



妄想しているとどんどんエスカレートしていき、気がつくとニヤニヤしていることはありませんか?
私はよくあります。
先日も、通りすがりのイケメンが「何かお困りですか?」と突然声を掛けてきて、特に困っていなかったのにも関わらず、なぜかいい感じになって「どーしよー♡ 困っちゃう」と一人で身をよじらせていました。
でも、私の妄想なんて北大路公子さんに比べたら全然たいしたことありません。
この「苦手図鑑」の中で、北大路さんの妄想ったらどんどん暴走して止まらなくなってしまうのですから。

本書は、「小説 野生時代」に連載された短いエッセイ34本が収録されているエッセイ集です。
北大路公子さんのことはこの本を読むまで全く知らなかったのですが、なんて楽しい方なんだろうと読みながら何度も大笑いさせてもらいました。

ふんふん。
北大路公子さんは、札幌の実家で両親と同居しながら、昼間から酒を呑み、長時間ドラクエをして、佐藤浩市さんをこよなく愛する独身女性・・・
ああ!!
佐藤浩市さんLOVE♪とは、もうそれだけで素敵な女性だとピン!と来るではありませんか。

五月みどりと小松みどりは姉妹なのになぜ名字ではなく名前部分を共有しているのか。一人では答えがでず、思い切って妹に質問したところ、「みどりが名字なんじゃない?」
が、外国人?
といった軽妙な文章が続きます。

客の容姿を見ただけでピタリと予言するタクシーの運転手さんに、「今年の夏は恋をする。しかものめり込んでドロドロになるよ。」とまで言われた著者。
あははうふふと砂浜を走るが、抜き差しならなくなって・・・と昔の2時間ドラマのような妄想を繰り広げていくのですが、それがすごい!
えー!そういう展開!?と凡人には想像つかないストーリーが披露され、大笑いしながらも「この方、大物だ!」ととても感心しました。
ただ、そこまで妄想しながら今か今かと恋を待ち構えていたのに、何事もなく夏は終わってしまうのですが。

大量に残ったおでんを前に苦悩する場面を読んで、かつて一人暮らしの男の子と付き合っていた友人が「冬は毎週末おでんを大量に作って、一週間毎日夕飯におでんを食べてもらう」って言っていたことを思い出しました。
いくらおでん好きとはいえ、彼氏は喜んでいたのかな?

題名は「苦手図鑑」ですが、別に苦手なものが列挙されているわけではありません。
読んで笑ってストレス解消にはもってこいのエッセイでした。

※北大路公子さんの苦手なものは、チーズとトマトとみのもんたと人生の変化だそうです。
私の苦手なものは、しいたけと高所と暑さです。

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