2014年6月1日日曜日

乙女の読書道

池澤春菜著
本の雑誌社

乙女をなめたらあかんぜよ!超のつく読書狂の乙女でもあり、「文筆界のサラブレッド」でもある著者の書評集。



子供の頃から読書好きで、自他共に認める重度の活字中毒。
寝なさいと部屋の電気を消されても、お布団の中に懐中電灯を持ちこんで本を読んでいた。
母が先生に「本を読みすぎて困る」と相談し、読書を推奨している立場の先生を困惑させた。
学校の図書館の本は全部読んだ。

そんな「本好きあるある」のようなエピソードをお持ちの著者・池澤春菜さん。
同じ本好きとしてとても親近感が湧いてきます。

学校の行き帰りの道も歩きながら読み、授業中も、食事中も読む。
小学3年生の時に、本屋でシリーズものを読み始め、続きが読みたくて数軒ハシゴしながら夢中で読みふけっていたら、夜の9時を過ぎていた!
慌てて帰宅すると、家の前にパトカーが停まっていて大騒ぎになっていた。
ここまで来ると、ご本人がおっしゃる通り筋金入りの「読書狂」です。

池澤春菜さんは、声優・歌手・エッセイストとして活躍しながら、今でも年間300冊以上の本を読まれているそうです。
そして、お父様が作家の池澤夏樹さん、お祖父様が作家の福永武彦さん、お祖母様が詩人の原條あき子さんだというのですから、文筆界のサラブレッドとも言えるのではないでしょうか。

表紙の可愛らしい女性はご本人で、まさに「乙女」といった雰囲気が漂っています。
後ろの整頓された本棚はご自宅のものだそうで、どんな本があるのか、どんな並べ方をしているのか、まじまじと見てしまいました。

本書は、そんな「読書狂乙女」の池澤春菜さんが、「本の雑誌」等に連載したものをまとめた書評集です。
池澤夏樹さんとの親子対談や、紙の本禁止令が出されiPodと過ごした1週間の体験記も掲載されていて、とても読み応えがあります。

掲載されている書評は、児童文学やハーレクイン、お父様・お祖父様の作品もありますが、お好きだという翻訳もの、それもSF・ファンタジーに偏っています。
SF愛に満ち溢れた書評なのです。
ほとんどSFを読んでこなかった私が、本書に取り上げられた中で読んだことあるのは、「開かせていただき光栄です」と「ビブリア古書堂シリーズ」ぐらいでした。

この書評集の最大の特徴は、文章から ☆キラキラ☆ や ♪音符♪ が飛び出してくるような印象を受けることなのです。
といっても乙女チックな可愛らしい輝きももちろんあるのですが、それだけではなく、なんというか、子供が好きなことに夢中になっているような、ウキウキやワクワクが伝わってくるのです。
ご本人が、面白くてたまらないと夢中なっている様子が目に浮かんできます。
だから、読んでいてとても楽しくなってくるのです。
そして、池澤春菜さんがそんなにも面白いとおっしゃっているなら読んでみたい!と思ってしまいます。

おかげで読みたい本リストがまたまた伸びてしまいました。
迂闊に手を出したら火傷しそうな魔性の本なので、どうかご注意ください!

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著者のインタビューより
国語のテストで、父の小説から問題が出たことがあって。「このとき作者は何を考えていたのか答えよ」という問題。その日家に帰って、父に「何を考えてたの?」と訊いたら、「〆切のことしか考えてなかった」(笑)。それで翌日先生のところへ行って、「父は〆切のことしか考えてなかったそうなんですけど、その場合何番を選べばいいんでしょう?」と訊いたら「もういいです」って(笑)。きっとやりにくかったと思います。

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